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菊池仁志コラム 飛躍への原動力。世界に羽ばたくために。Vol.10

2019年01月07日 更新

自転車競技コーチとして本格的に自転車競技者の指導に携わるようになって3年が過ぎた。

競技者の指導には、トレーニング機材としてWattbikeを導入した。
最初に購入した1号機も3年が経ち、ワットの出方やチェーン鳴り、ケーブルの破損などが気になり、メンテナンスを受けることになった。
高負荷練習で使う日や、街道練習ができない雨の日等には何時間も稼働し続けてくれた代償だと思う。

メンテナンス担当のメカニックの方から、激しく綺麗に消耗しているとお褒め頂いた。
使っている選手たちが大事に乗っていた証だ。

帰ってきたWattbikeは綺麗に磨かれ、気になっていた部分も問題なく動くようになった。
3年の間、激しいトレーニングに耐え、頑張ってくれた、このWattbikeを使った感想を書いてみたいと思う。


導入した理由は、ペダリングの状態、とくに左右の連携を、Polar Viewを見ながら簡単に学べること、ワットと回転数が表示されること、様々なテストが可能なこと、メモリーにそれらが残り、あとで検証できることなどが挙げられる。

そして、一番大きな理由は、風車で空気の抵抗を作り、その負荷をペダルに課していくもので、実走に近い自然な乗り味でトレーニングを行えることだった。

Polar Viewを見ながら身体の動きがどうペダリングに反映されるのか、その動きをどんな時でも再現できるように、そして、その動きで高いワットと高いケイデンスを維持する方法を学んでもらいたいとの思いがあった。

また、限界付近で身体がどう動き、どうしたペダリングになりやすいかがわかれば、それを改善するためのトレーニングを考えやすくなる。

それはレースの終盤、エネルギーを使い果たし、どの選手も疲れてきたときに正しく身体を使い、少ない力で自転車を進ませる方法を学ぶことにも繋がる。

それができればレースで勝つ確率も上がる。
もちろん身体を強くするためのトレーニングにも有効だ。

この3年で指導してきた競技者には、主にFTPを上げるためのベースになるトレーニング、ペース走に重点を置いた。

安定したワットとケイデンスを出すためには、効率の良いペダリング、身体の使い方ができなければならない。それを理論的に説明できても、真に理解するのは難しい。
その理論を頭で考えながら限界付近の走行を続けるということはもっと難しい。

簡単な図式でPolar Viewに表示されるペダリングの状態は、そのとき改善することは難しくても、頭の中にイメージとして残る。どういう状態の時に、どのような図形が表示されるか、それを意識しながらトレーニングを続けることが改善につながっていく。
そして、これが繰り返されることで、無意識に意識した動きが自然にできるようになってくる。

安全に限界付近での走行ができる。
難しい理論を、頭ではなく、身体で覚えていく。
それができるのが、Wattbike。

多くの機能が盛り込まれているが、シンプルな使い方で競技力を上げることが可能だ。
また、多くのデータから客観的な分析もできる。

競技者、指導者ともに活用してほしいトレーニング機器だと思う。


●オフィシャルサイト
・元競輪選手 菊池仁志の自転車道場
https://k-fitting.com/
(c)2017ヒトシプランニングオフィス

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