自転車競技ロードの合田祐美子選手は全日本インカレ優勝、全日本選手権3位と実績を積み重ねて今後の活躍が期待されているアスリートです。この春に終了した、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科ではワットバイクを使った動作研究などにも取り組んできました。合田選手にワットバイクをどのようにトレーニングに活用しているかを中心にお話を伺いました。
- - ワットバイクを使い始めてからどのくらいになりますか?
大学3年生の頃からですので4年くらいになります。所属していた早稲田大学自転車部のトレーニングルームにワットバイクが導入されたことがきっかけで使い始めました。
- - 現在はどこでどのような目的でワットバイクを使っていますか?
自宅に置いてインターバルトレーニングをメインに行っています。5分や20分のテストなど現在の実力を評価するための測定にも使っています。公道ではなかなか一定ペースで走ることが難しかったり、安全上、全力で追い込むことが難しかったりするのですが室内でのワットバイクトレーニングではそういったことに左右されることなく「これだけの負荷・強度で」というメニューを確実にこなせます。そして、追い込みが可能で体力面の向上を効率的に行うことができます。また、天候に左右されないということもあると思います。ペダリングの感覚は他の自転車エルゴメーターとは異なり、実走に近くてスムーズなことも魅力の一つです。
- - 具体的にはワットバイクでどのようなトレーニングをしていますか?
2km、1km、100mのインターバルトレーニングやペダリングの確認などです。ベースとなる10段階の空気抵抗負荷に加えてマグネット負荷があり高速回転練習から高負荷での筋力トレーニングまで幅広い負荷を設定できるためレース時間が長時間に及ぶロードレースの中で必要となる様々な状況に対応する練習ができます。また、コンディションや身体の使い方の確認にも使っています。Polar Viewで自分のペダリングを確認して修正すべきところは修正を加えることができます。
- - ワットバイクは競技パフォーマンスにどのような効果をもたらせていますか?
自転車ロードレースは屋外で行われるので自然の変化や環境に対応する能力は大切です。しかし、選手として基本となる基礎体力を効率よく向上させるためにワットバイクが貢献すると思います。私も学生時代からインターバルトレーニングをメインに、屋外でのロード練習後や雨の日などに活用していました。安全面が確保されているので、きついトレーニングの実行も可能になります。こういったことからワットバイクは選手としてのスキルというよりもいかに自転車を速く進めるかという競技力向上に有効なトレーニングツールだと思います。また、ペダリングは自分の感覚と実際にどのようになっているかが意外と異なっていることが多く、視覚で認識することで修正しやすくなります。ペダリングはパフォーマンスに影響する要因として後回しにされがちですが、何千、何万回と繰り返す円運動は一回のロスが積み重なればそれは膨大なロスとなることが考えられます。ペダリングをよりよいものにすることでパフォーマンス向上に役立てると思います。
- - ご自身の大学院での研究にもワットバイクを使われました。
意識によってペダリングがどう変化するかを研究しました。どのような意識で効率の良いペダリングに近づくかを検証する手段としてワットバイクのPolar Viewを用いました。研究ではフォースプレートというものを使い、ペダルへどのような力がかかっているかを測るものが多いですが、ワットバイクを用いることでより簡易にペダリング技術を評価すること、さらにフィードバックすることが可能になったと思います。
- - ワットバイクをサイクリングアプリ(ソフト)のZwiftと連携して使うこともあるそうですね。
ワットバイクは短時間高強度のトレーニングにはいいですが、環境の変化などがないため、長時間のトレーニングには相当の集中力や忍耐力が必要だと思います。そのため、Zwiftのようなソフトとの連携はある程度の練習時間が求められるロードレーサーには嬉しいことだと思います。そのうえ、ただロードコースを走るだけでなくリアルタイムで世界各国の人と画面上で競い合えることは本当にレースに参加しているような感覚になります。追い抜かれると必死についていきたくなるし、前に人が見えてくると抜きたくなります。レースを走っている感覚になるため、自然と強度も上がると思います。
- - 最後に、競技者としての現在と今後の展望をお聞かせください。
今年3月に早稲田大学大学院スポーツ科学研究科を終了して現在は地元の岡山で日々トレーニングを行っています。BH BIORACER というチームに所属し、また、日本自転車連盟の強化指定選手として年に数回、海外レースに参戦しています。選手としての目標、展望は毎年6月に行われる全日本ロードレースでの優勝、海外での競技活動、東京オリンピック出場です。自分の成長はもちろんですが、多くの人に感動を与えられる選手になりたいと思っています。
●合田祐美子選手の主な戦績
2013年 全日本学生選手権 個人ロードレース大会 優勝
2014年 全日本学生選手権 個人ロードレース大会 優勝
2014年 全日本大学対抗選手権 個人ロードレース 優勝
2014年 全日本自転車競技選手権 ロードレース 3位
2015年 全日本自転車競技選手権 ロードレース 4位
2016年 全日本自転車競技選手権 ロードレース 7位
合田祐美子選手オフィシャルブログ:
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