自転車競技の指導に関わるときは、レース用フレーム、レース用車輪等々の評価やテストできるものは自分の脚で確かめることを基本としている。
機材に関することの感覚は人それぞれ違う。
自分の場合はプロ生活30年も含めるとスポーツバイク歴42年になる。そのなかで加齢による筋力の低下、また動体視力の低下など様々な経験をしてきた。そのなかで養った感覚をとても大事にしている。
そして、トレーニング用機材として以前から注目していたものがあった。それが「Wattbike」だ。競輪選手等々プロ選手も使うWattbikeには「Pro」、「Trainer」の二つのモデルがある。
どちらを選ぶのか、迷う人も多いと思う。
風車に導入される空気量で負荷を調節できるWattbikeは、その負荷と回転数で出力されるワットが公開されている。Pro、Trainerの値を見比べているとあることに気づいた。
それぞれのサイクリストが目標とする出力、そして、その数値を出すために理想とされる回転数を考えた時、そのすべてを網羅している。これだと多くのサイクリストの要望に応えることができる。
トレーニングはレースの状態を再現することが大事だと考えている。
大きなギアを使えるエリート、U23世代。ギア規制のあるジュニア世代。そのことを考えるとPro、Trainerどちらを選んだ方が良いのか見えてくる。
(両モデルのパワーチャートは下記ページに掲載)
2015年8月にプロコーチとしての活動を始め、フィッティング、トレーニング事業「K-FITTING®」ロードバイクスクールを開講。ワット計を使ったトレーニングなども指導し、一般サイクリスト、プロサイクリストのフィッティング、トレーニングも行ってきた。
そのなかで、どうしても可視化できないものがあった。
それはペダリングの「左右連係」。
ペダリングベクトル解析やワット、回転数、スピードがモニターに表示される機器はいくつかある。しかし、ペダリングの左右連係は可視化できないものが多い。ただ、自分の目で見て左右連係は説明できる。また、経験豊富な社会人サイクリストやプロサイクリストは、そのことを説明すると理解してくれる。
しかし、経験が浅い社会人サイクリストやジュニア世代のサイクリストではどうなのか?
二足歩行で歩く人類は、脚でペダルを回すという感覚を難しく感じる。
ベクトル表示ができる機器のついた自転車のペダルを手で回すと、綺麗な円の接線ベクトルが表示される。それは、手が頭で描いた円運動を忠実に再現できるためだ。
ところが、それを脚で再現しようとすると難しくなる。
大きな力を生み出す脚、しかし、手ほど器用ではない。
二足ある脚、その力を連係させる。
それが、ペダリングの「左右連係」だ。
●オフィシャルサイト
・元競輪選手 菊池仁志の自転車道場
●プロフィール
1961年7月生まれ。愛媛県松山市出身。
1981年6月選手登録。1983年4月S1班昇格。
2011年11月にS級在籍のまま競輪選手を引退。
競輪選手生活30年のうち、S級在籍は28年に及ぶ。
GI、GII決勝戦進出。GIII向日町優勝。通算268勝。
競輪選手引退後は、長年の選手経験を活かし、競輪解説、コラム執筆、講演活動のほか、自転車関連イベント企画やコース監修、キッズバイクスクール監修等、自転車競技発展に貢献するため日々奮闘。また、愛媛県自転車競技連盟理事も務めるなど多方面で活動。2015年にプロコーチとして本格的な活動を開始し、K-FITTING®ロードバイクスクールを開講。一般サイクリストやプロを目指すアマチュア選手、現役プロ選手まで、ジュニアから社会人といった幅広い層の指導にあたる。
●主な執筆
・週刊プロスポーツ プロスポさろん「キク輪の自転車三昧」(日刊プロスポーツ新聞社)
●資格
・公益財団法人日本体育協会 公益財団法人日本自転車競技連盟 公認自転車競技コーチ
・公益財団法人日本自転車競技連盟 公認審判3級
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