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早大ボート選手 アスレチックリハビリテーション Vol.1

2017年09月06日 更新

2017年8月30日~9月2日、埼玉県戸田ボートコースにてボート競技の全日本大学選手権が開催されました。女子ダブルスカル(二人漕ぎ)で銀メダルを獲得した早稲田大学の北村綾香選手は腰の故障を乗り越えての健闘でした。3か月間に及ぶワットバイクでのリハビリトレーニングの様子を数回にわたり紹介していきます。

早大ダブルスカル(S米川志保、B北村綾香)

2017年5月下旬、早稲田大学漕艇部(ボート部)の内田大介監督から依頼が寄せられました。故障から競技復帰に向けて動き始めた女子選手のリハビリトレーニングをサポートして欲しいという内容でした。同部3年の北村綾香選手。身長172cmと恵まれた体格を持つ、滋賀県随一の進学校である膳所高校出身の選手です。高校時代はボートのシングルスカルで全国大会4位の実績があります。2015年4月に早大進学後、同年10月に出場したレースでのアップ中に感じた腰の痛みが腰椎分離症と診断されて競技からの長期離脱を余儀なくされました。リハビリを続けた後、2016年秋に競技復帰を果たしますが、2017年3月から再度痛みが発症、病院で椎間板症と診断されました。漸くリハビリトレーニングができるようになったのでワットバイクでのトレーニングをメインに競技復帰を目指したいということでした。ワットバイクでのぺダリングであれば腰部の障害からの回復を妨げることなく心肺機能、パワー出力を向上させていくことができます。

5月30日に北村綾香選手は内田大介監督とともに都内のWattbikeスタジオにいました。

ワットバイクでのリハビリトレーニング・プログラム作成のためには北村選手の現状把握が必要です。そのためのテストを行う目的でした。北村選手は自らのコンディションを「水上のローイング(ボート漕ぎ)は全力の70%程度までなら痛みなくできるようになりました。ワットバイクでのペダリングは全力でできます。」と話しました。

女子ボート競技のレースは2000mの距離を7~8分で漕ぎきるものです。そのためのフィジカル能力はワットバイク3分間テストでの平均ワット数と高い相関関係にあることが世界各国での事例から判っています。この日も3分間テストが目的ですが同テストについては100回転前後で漕ぎ通すプロトコルを推奨しています。ということは、そのために適当なギア(空気抵抗レベル)を決めなければなりません。その作業を体の状態を十分に考慮して、またウオーミングアップも兼ねてTrainerのSub Max Ramp Test で行いました。ギア(空気抵抗レベル)はレベル8、スタートワットを100Wにして1分ごとに15Wずつ上げていくようにしました。Sub Max はMax Rumpとは違い出来なくなるところまで追い込みません。「漕ぎながら会話をするのが辛くなるレベル=オールアウトの70~80%」でテストを終了してもらいます。テスト結果は「推定MMP」という形で表示され、北村選手のテスト結果は推定MMP 280Wでした。

この結果に加えて、本人のボート競技でのタイムなどを参考にして、3分間テストはProのレベル4で行うことにしました。

Sub Max Ramp Testから10分程度の休息を挟み3分間テストを実施しました。設定ギアをレベル4に100回転前後を維持するようにペダリングを続けました。余裕を感じたので最後の30秒間はレベル5に上げました。最後はさすがにきつそうでしたが、非常に高いスピリットを感じる粘りを見せてテストは終了しました。テストを通して痛みを感じることはなく、その点はホッと一安心でした。

テスト結果として、MMP(3分間平均出力)320W、MHR(最大心拍数)187 でした。

テスト終了後、内田監督、北村選手と今後に向けた話し合いを行いました。

北村選手には今までの競技活動の状況、故障した経緯などについてヒアリングをしました。また、内田監督とは北村選手の競技復帰までの時間軸、日々のルーティンの中でワットバイクに割ける時間などについて話し合いました。その結果、最終目的は8月末のインカレでの最大パフォーマンス発揮ですが、まずは7月中旬に部内メンバー選考レースがあるので、そこで一定のパフォーマンスを出せるレベルに持っていく、というターゲット設定をしました。そのときの状況、それまでの経緯を見ると正直、厳しいものだと思いましたが、選手本人から意思と覚悟を感じましたので、それを拠り所にサポートしていくことにしました。

まずは、同日のテスト結果をExpert Softwareに保存して北村選手の有酸素パワー能力とペダリングスキル(=出力発揮の動作パターン)を分析、同時に当該ファイルをイギリスのスポーツ科学者、エディー・フレッチャーと共有して、競技復帰までのプログラム作成に着手しました。ここから北村選手の競技復帰に向けたプロジェクトが始まりました

写真提供、記事協力:早稲田大学漕艇部 http://www.wasedarowing.net/

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