主観的強度と客観的強度
先日、2ヶ月間のヨーロッパでの自転車競技生活を終えて無事に帰国しました。レースの拠点はベルギーでしたが、日本に戻る直前の9月5日~10日の6日間、Tour Cycliste Féminin International de l’Ardècheというフランスで開催されたステージレースに出場しました。ベルギーでは登りといっても丘のようなもので、ほとんどが平地のレースでしたが、このレースは正反対の登り下りがメインのハードなレースでした。
今回はこの6日間のレースを振り返り、私のコンディションへの感覚と、レース中の客観的強度を把握する唯一の指標であった心拍数のデータから、主観的強度と客観的強度についてお話していきたいと思います。私は、疲れていると感じていた時、調子が良いと感じていた時、では実際にはどうであったか、という観点で心拍数のデータを見てみました。その結果、自分の感覚(主観的強度)と心拍数のデータで示される数値は一致したものではなく、調子が良いからといって高いパフォーマンスになっているとは言い切れないようでした。まだまだ自分の身体を理解し切れていないこと、長期に渡るレースで高いパフォーマンス発揮を維持するためにさらにトレーニングが必要であることを実感しました。
表1に6日間の「脚や身体の疲労感」「平均心拍数」を示しました。
レース初日(5日)はこのレースのためにコンディションを調整していたため、身体の疲労感は小さかったです。その後3日目(7日)までは筋肉の疲労感が大きくなりました。4日目は、まだ半分ある…という、精神的な疲労感はありましたが、脚の状態は悪くはなく、5日目、6日目と徐々に調子が上がっているように感じました。
しかし各日の心拍数を見てみると、初日から最終日にかけて徐々に平均心拍数が低くなっていました。どの日もその日のベストを尽くしたつもりですが、5日~7日までの3日間は自分よりも強い集団から遅れても追いつき、遅れても追いつきしていたため強度も上がったのではないかと思います。また、その場合は不規則にハイスピードが求められるため、より筋肉を酷使します。しかし初めの3日間は、そのような追い込みが可能な状態、筋肉が大きな力を発揮する余裕があったとも考えられます。そして8日~10日の後半の3日間の心拍数が上がっていないのは、トップ集団で走ることがほとんどなく、自分と同等の力の集団の中でベストを尽くす走りであったことが考えられます。そのため、限界を超えることがなく、インターバルがかかるというよりはペースで走っていたと思われます。つまり、最大に近いパワーを発揮する機会が少なく、持久的な疲労のため、筋肉への大きなダメージが少なかった。そして、筋肉の状態やコンディションが良かったからしっかり追い込めたと思っていましたが、身体はそれとは相反して疲労していて、最大まで追い込むことができていなかったと考えられます。
日々のトレーニングでも主観的な強度と客観的な強度が異なることを時々感じていましたが、今回のレースを分析してみてよりいっそう主観と客観の相違を実感しました。また、3日目までは高強度で追い込めていたことから、トレーニングを3日間周期で組み立てる考え方があることの妥当性を実感しました。
心拍数という客観的データは、自分の限界を打ち破るトレーニングを行うために、オーバートレーニングを防ぐために、そして今の自分の状態を知るために優れたものであると思います。近年、パワーのデータが主流となっていますが、心拍数というデータも自信のパフォーマンス向上に役立ててみてはどうでしょうか。
photo by Karine Junique-chastanier
合田祐美子公式ウェブサイト
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