スピードがでればでるほど風の抵抗を感じてくることだろう。
そう自転車にとって最大の抵抗は風圧になる。
仮に、同じ走路を同じ出力で走る二人のサイクリストがいたとしたら、前衛投影面積の小さいコンパクトなフォームで走行するサイクリストのほうが、より高いスピードで走ることができる。
人間が自転車を漕ぐために必要なエネルギーには限りがある。人類である限りそれは宿命ともいえることだ。そのエネルギーをどのようにしたら効率よく長く使えるようになるのか。その一つの鍵がコンパクトなフォームでいかに高い出力を出せるかになる。
コンパクトなフォームとは、先ほどにも述べたように前衛投影面積の小さなフォームだ。
適正なサドル高に対してハンドル位置が低めの、頭が低い位置にくる、腰との高低差があるポジションになる。
そうした場合、上死点での股関節の屈曲の角度が狭くなり、上死点付近からペダルに入力することが難しい。
股関節は伸展動作で大きな力を生み出す。サドル、ハンドルの高低差の少ない、身体が起きたフォームの方が力を出し易い。しかしそのフォームでは風の抵抗を受け、高いスピードを維持することが大変になる。
Wattbikeで高い数値が出ているサイクリストが、自分の思うようなレース結果がでていない要因の一つとして、上記のようなことがあるかもしれない。
実際、ワット計の付いたロードバイクで向かい風の中を走っているときに、ほんの数センチでも頭を下げるだけで、数パーセント低いワットでスピードを維持できる。
自分がコーチしている選手たちがWattbikeでトレーニングするときは、このことを意識させることにしている。短時間高出力トレーニングのときも、分単位の時間で区切るペース走のときも同じだ。
そうしたことに注意してコーチングしていると、選手たちの身体の特性を把握できる。コンパクトなフォームを維持しながら出力を安定させて出し続けるためには、大きく3つの要素が必要だ。
限られたフォームのなかで身体を自在に使うための「柔軟性」。身体を安定させるための「体幹」。高い出力を出すための「筋力」。
それを実走中にコーチングすることは至難の技だ。しかし、Wattbikeは実走状態の抵抗を風車が作ってくれる。自然な抵抗のなかで、負荷値を自在に変えながらフォームの確認が簡単にできる。
今、何が必要なのか。実走に近い状態での身体の使い方を確認しながら、改善点を見出し、その場で指導することができる。Wattbikeは、競技者、指導者双方にとって利便性の高いトレーニング機器だ。
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元競輪選手 菊池仁志の自転車道場
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