今回はWattbikeを使ったペダリング指導を行ったときのことについて書いていきたいと思います。
まず始めに、私は大学院時代にペダリングの指導方法(指示内容)について研究を行っていました。簡単にまとめると、スムーズな円運動を行うための数種類の「引き上げ」の指示を行い、どの指示内容が最も効果的かを検証するものでした。足(ペダル)、膝、股関節(お尻)それぞれを意識して行ってもらうのと、クランク1周を時計盤で表現し、その4時あたりで斜め後方へ引き上げる意識をして行ってもらう4パターンを実施しました。その結果、4時の場合は皆、良い結果をもたらしましたが、身体部位への意識の場合は人によって向き不向きがあることが分かりました。このときの実験の経験も踏まえて、今回のペダリング指導ではその人にあった指示を行うことを心がけました。
今回はトライアスリートを含め、自転車でトレーニングンに励んでいる方が対象だったので全員、ペダリングの基本である円運動の認識はあったように思います。ペダリング動作とPolar Viewによるペダリングの軌道を併せて見ることで、①左右バランスとその原因、②力が上手くかけられていない部分とその原因、などを指摘するとともに、どのように改善していけば良いかのアドバイスを行うことが可能でした。
まず①についてです。左右ともに50%という人はほとんどおらず、どちらか一方が強い、または弱い場合がほとんどでした。その原因は一方の脚による踏み込みすぎや、ハムストリングなどによる引き上げ動作が上手く行えていないことが考えられました。また、前方から見た時に片膝が内に寄ってしまっていたり、後方から見た時に片側の腰が下がってしまっているケースがありました。
次に②についてです。片方の脚の踏み込みすぎによる、もう片方の脚の踏み遅れがあったり、前乗り過ぎることで大腿四頭筋メインのペダリングになってしまい、左右の切り替え時にロスが生じてしまっていたり、サドルが高すぎることや、上半身の安定がないことから、お尻が跳ね上がってしまっている人もいました。
実際の身体のアンバランスと表示される左右バランスやPolar Viewの図によって、ペダリングを行っている本人と指導する私の共通理解が可能になり、より動作の修正が行いやすかったように思います。改善の余地のあるペダリングなのは同じでも、その原因や方法は様々です。ペダリングの基本はあっても、すべての人にこれが当てはまるということはありません。今回の指導を通じて、1対1での指導によって、対話によってその人にベストなペダリングを探ることが可能になると感じました。お互いに試行錯誤をしながら、ついに「分かった!」という感触を得てもらうことができた時ほど嬉しいことはありません。Wattbikeを用いることでよりそれを実現しやすくなるのではないかと思います。
合田祐美子 公式ウエブサイト
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