菊池仁志コラム 飛躍への原動力。世界に羽ばたくために。Vol.11

2019年03月15日

実走している自転車上での身体の動きと、固定自転車上の身体の動きには違いがある。
ウエイトトレーニングでも同じようなことが言える。

バーベルやダンベルを使うフリーウエイトトレーニング。マシンが身体の動きを補助してくれるマシンウエイトトレーニング。どちらも筋肉を鍛えるという意味では同じトレーニングになるが、使う筋肉、とくにバランスを取りながら、ということを考えると、フリーウエイトトレーニングの方が、身体全体の協調性を鍛えるという点では優れている。

マシンでは、鍛える部分の筋肉、身体の動きや、意識に集中し易く、ウエイトトレーニング初心者であっても簡単なレクチャーで実施することができる。安全に、そして難しい動作を習得しなくてもウエイトトレーニングが可能だ。将来、フリーウエイトトレーニングに移行するための準備期間にもなる。
また、フリーウエイトトレーニングを理解した上級者であっても、フォームの確認や、鍛えたい部分の筋肉を意識させやすい利点がある。

自転車競技は、股関節を折りたたんだ状態で、伸展、屈曲を繰り返す。関節が深く折り曲がった状態からのパワーの立ち上がりが重視される。また、それに伴う身体全体のバランス、協調性も必要だ。

フリーウエイトとマシンウエイトを自転車競技のトレーニングに置き換えてみると、バーベルやダンベルを使うフリーウエイトに近いのが、実走。Wattbikeは、マシンウエイトと考えられる。どのタイミングで、どちらのトレーニングを、どのように実施するかは、それぞれの選手の特性にもよる。選手の現状を理解しながらトレーニングを進めていかなければいけない。

実走は、路面状況、公道では、車やバイク、歩行者など、まわりの状況に注意しながら走行しないといけない。ペダリングや、身体の使い方だけに集中することができない。Wattbikeは、転倒の心配がなく、ペダリング、身体の使い方に意識を集中することが可能だ。限界まで追い込むこともできる。ウエイトトレーニングと同じことが言えるだろう。


また、実走では、正しいペダリングを習得するには時間がかかる。なぜなら、実走する自転車は、揺らぎながら進んでいく。前輪、後輪の軌跡は一直線上にはなく、ペダリングしているとき、左右に強く踏み込んでいくときも、自転車は大きく揺らぐ。その動きのなかで、脚の力と体重をペダルに乗せていかないといけない。
それは瞬時で、その上、揺らいでいる自転車上での正確な動作が必要になる。
ケイデンスが上がれば尚更だ。

ペダリングについて、その動作が正しく行われていることを確認するために、とくに競技経験が浅い選手たちや、短時間のワットは出ているのに、思ったほどスピードに繋がらない選手たちにWattbikeの利用を勧めている。

安全に、フォームを意識しながら、視線の先にモニターがあり、簡単な図式でペダリングの正確な動きを会得できるWattbike。

簡単な動作から、より複雑な動作に。
より複雑な動作のなかでスランプに陥ったときは、簡単な動作を繰り返す基本にもどることが大切だ。

自分が指導をしている競技者について、どのようなトレーニングをしているのかと聞かれることがあるが、実は、難しいことは何もしていない。
練習量に満足するトレーニングではなく、レースで勝つためのトレーニングを繰り返す。
実走で、いかに正しいペダリングができるか、いかに自転車を正確に扱えるか、そこにかかっている。
刻々と変化するレース状況にいかに対応し、無意識に自転車を正しく操作することができるようになるか。
日々のトレーニングは、基本動作を繰り返すことが大切だ。
Wattbikeは、基本に戻り、自分の状態を確認するために、とても有効な指標となる。


●オフィシャルサイト
・元競輪選手 菊池仁志の自転車道場
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