「ニッポンの守護神」 プロバレーボール選手、リベロの小島満菜美選手は2024年からアメリカのリーグワン・バレーボール(LOVB)所属のチーム、LOVBソルトレイクで活躍中です。
2025、2026年と2シーズン連続でLOVBの年間最優秀リベロ賞を受賞しました。また、日本代表としては、パリオリンピックに出場し、2025年のネーションズリーグ、世界選手権でのベスト4入りに大きく貢献しました。2026年はアジア選手権に出場しました。
小島選手はNECレッドロケッツ川崎に所属時代から現在まで継続してワットバイクトレーニングを行っています。その目的や効果についてお話を伺いました。
©2025 mmmayuko08_Photo
ー ワットバイクをいつ頃から使っていますか?
「前所属先のNECレッドロケッツ川崎がワットバイクを導入したときから使っています。本格的にトレーニングに使い始めたのはパリ五輪前のシーズンからでした。4年前くらいになりますね。」
ー ワットバイクを本格的にトレーニングに導入したきっかけ、目的は何でしょうか?
「体の使い方、動きの改善です。私は速さを出して走ろうとすると、ハムストリングスを使わずに前腿を使う傾向がありました。そこで、ワットバイクに乗ってPolar Viewをしっかり見ながらハムストリングスを使いながら動くことの意識づけを行うことにしました。走り方として表現をすると、ストロークが大きいので高い回転数が出ないということです。ストロークが大きすぎるから脚を腸腰筋で引き上げて前に出すという動作ができていなかった、後ろに蹴りながら走っていたという感じです。そうではなく、腸腰筋を使って脚を上げて前に踏み出すという動作の意識づけをバイクで行ったということです。」
ー 元々の走り方の問題点はどこにありましたか?
「バレーボールはボールに合わせて動かないといけないのにストロークが大きいと細かいステップが使えなくなり、走っていて最後の調整ができなくなります。例えばフェイントされたときには走っていって最後にちょっと合わせたりするのですが。また、そもそも回転数が上がらないので初速が遅いという状態でした。」
ー その対策としてどのようなトレーニングを行ってきましたか?
「色々とありますが、20~30秒の片脚ペダリングの後に5~9mのショートスプリントランニングを行うといった取り組みも行いました。完全に動作改善にアプローチしたものです。このような取り組みは当時のチームのコーチ、トレーナーの指導のもと行っていました。私は元々そこまで脚が速くも運動神経がよいわけでもなく、動作の専門家にちゃんと自分の体について教えてもらい、自分で理解して気付き始めて変えていくという作業を繰り返し続けています。天性的にできているということはありません。最近は6秒スプリントで回転数を最大限上げるというトレーニングをよく行っています。」
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ー トレーニングの成果をどのように評価されていますか?
「成果はかなり感じています。片脚ペダリングで腸腰筋での脚の引き上げを意識した結果、ハムストリングスで押せるようにもなり引き上げもまた速くなるというよいサイクルができ、走りで後ろに蹴ることも少なくなってきました。走る中でストロークの大きさについて定量化したことはありませんが、動きが改善されたときに、以前は大きかったのだと気づきました。また、回転をこのように高めていくことができることを理解できました。」
ー 成果をどのようにしてバレーボールのプレーに繋げいきましたか?
「バイクトレーニングと平行してスプリントの動作トレーニングを行ったこともあり、始めてから2~3か月で効果を実感し走る感覚が変わりました。それをボールがあるところでの動作に繋げるのに1年くらいかかりました。しかし、そこで問題が出てきました。感覚的に自分が思っているよりも速く動けてしまうので、ボールに入るのが早くなるということです。ボールにタッチするのに待たなければいけなくなりました。動けるようになるとこういう変化が起きます。その調整作業にまた半年弱、試行錯誤しました。走る感覚が変わったので、もう一つの感覚を変えなければいけないという状態でした。」
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― 動作改善のほかにワットバイクで取り組んでいることはありますか?
「持久力強化です。私は3日連続でフルセットの試合をしてもパフォーマンスが落ちない体力作りをロス五輪までのテーマにしています。速い回転数で高いパワーを維持していく高強度インターバルなどを行っています。アメリカのチームのトレーニングは日本のものと違いはありますが、チームのトレーナーが理解をしてくれているのでバイクについては自分のメニューで行っています。」
―アメリカのバレーボールチームでトレーニングの位置づけはどうですか?
「日本と比べると非常にトレーニングへの意識が高いです。私の所属しているチームでも週に3回、しっかりとトレーニングのプログラムが入っています。ウエイトトレーニングもそうですし、バイクトレーニングも多く行われています。アメリカでは走るならバイクという感じですね。」
― LOVBはどんなところですか?
「すごく選手ファーストのリーグだと感じています。試合期が4か月と短いのはナショナルチームに入っている選手が多く、その点が考慮されています。リーグの中にリーダー的な立場の選手たちがいて、その声を聴きながら共にリーグを作っていこうという考え方が浸透しています。そもそも、バレーボール人気が高いアメリカに女子のリーグがなく、自国にリーグを持ちたいという選手たちの思いから5年の準備期間を経て昨年から始まったリーグです。将来は世界最高峰のリーグにしたいという構想のなか、選手は世界中から集まっています。チーム間の実力が拮抗するように選手の所属チームをリーグが決めるというのも大きな特徴です。」
― 渡米してLOVBに参加して今、どのように感じていますか?
「海外に出たいと思っていたところで声がかかりました。アメリカの五輪選手たちが帰ってきてリーグに参加することでレベルも高くなると思い渡米を決めました。1年間ここでプレーをしてきて、すごくよかったと思っています。後悔は全くありません。一番よかったと思うのは自分の考え方が広がったことです。バレーボールについて、そして人生についても。バレーボールの戦術も日本と違うわけですが、日本では課題を見つけて改善していくというアプローチが多いことに対してアメリカは良いところを伸ばしていくという違いがあります。日本にいたら考えない視点だなというのを色々なところで感じることがあります。」
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小島満菜美選手にワットバイクのトレーニングで動作改善を実現してきた経緯を分かりやすく話して頂きました。小島選手の言語化能力の高さもさることながら、その内容はワットバイクの使用事例として非常に興味深いものです。12月に始まるLOVBの新シーズン、また、今後も日本の守護神としての更なる進化、活躍を大いに期待しています。
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