日本ボート悲願のメダル獲得へ タレント発掘プロジェクト

2017年05月24日

2020東京五輪で悲願のメダル獲得を目指す日本ボート界が大規模な人材発掘プロジェクトを開始して3年が経過しました。このプロジェクトではワットバイクが大きな役割を果たしています。日本ボート協会の長畑芳仁・強化委員長にこれまでの成果、現状などにつき伺いました。

- - ボート競技が3年前から本格的なタレント発掘プロジェクトを展開しています。

ボートは競技やトレーニングに適した環境が全国どこにでもあるわけではなく、多くの人にとってはあまり縁がないスポーツです。中学生年代から全国規模の大会が行われてはいるものの、とても競技人口が多いとは言えず、オリンピックでメダル獲得を目指すためには既存の選手を強化することに加えて競技適性の高い選手を全国から広く集める必要があると考えました。

- - タレント発掘、育成のプロセスはどのようになっているのでしょうか?

全国各地でトライアウトを行っています。トライアウトではワットバイクの3分間テスト、4秒テストを行います。3分間テストでボート競技に最も必要な持久力を評価します。また4秒テストで最大瞬間出力も見ています。トライアウトは中学生以上の健康な方であれば誰でも受けることができます。ここで基準値をクリアした方は後日、第2ステージに進みVO2Max測定を行います。更に第2ステージを通過した方は実際に水上でボートを漕いで競技適性評価などを行ったうえで有望と認められた選手は協会のタレント育成プログラムに入っていきます。

- - 今までどのくらいの方がトライアウトを受けましたか?

2014年度の開始以来5000人以上の方がトライアウトを受けました。トライアウトは年間30回超、全国各地で行っています。また15か所の常設拠点で希望者はいつでも受けることができます。

- - トライアウトのワットバイク3分テストで何を評価しているのでしょうか?

ボート競技の運動、いわゆるローイング動作は非日常的な運動で専門のスキルが必要です。そのスキルがないままローイングマシンでのテストで評価することは難しいです。その点、サイクリング動作は誰にでも馴染みがあります。また、ワットバイクの3分間テストで測定する平均パワー出力とボート競技で必要とされるフィジカル能力との相関性は非常に高いと考えています。即ち、ワットバイクの3分間テストで高い平均パワーを出せる人材はボート競技で高い能力発揮をする可能性が高いと推測しています。これはヨーロッパのボート強国での実例からも言えることです。

(写真提供:日本ボート協会)

- - トライアウトを通過するための基準値を教えてください。

基準値は3分間テストの平均出力(単位:ワット)で次の通りです。軽量級というのは男子75kg以下、女子60kg以下が体重の目安です。年齢ごとに設けていますがこれをクリアすれば第2ステージに進めるということです。

男子 女子
軽量級 オープン 軽量級 オープン
23才以上 465 545 310 380
21才以上 450 530 300 370
19才以上 435 515 290 360
17才以上 420 500 280 350
15才以上 405 485 270 340
13才以上 390 470 260 330

- - 今までどのくらいの受験者が基準をクリアしましたか?

現在まで累計でトライアウトの通過者は106名です。全受験者の記録は日本ボート協会ウエブサイトにて匿名で公開されています。

http://www.jara.or.jp/tryout/

- - トライアウト参加者の基準値達成率が大体2%ということですね。その後のテストを経て実際にタレント育成プログラムに参加している選手は現在どのくらいいるのでしょうか?

現在、22名の協会認定タレント育成選手がいます。この選手たちは日本ボート協会の特別なプログラムの下、日々のトレーニングなどを行っています。そのうち2名はJOCエリートアカデミーで活動しています。

- - ご努力が成果につながることを楽しみにしています。トライアウト以外にナショナルチームでのワットバイクの活用状況について教えてください。

ワットバイクはボート競技選手にとって非常に有用なツールです。もちろんナショナルチームでは日々の活動の中で様々な用途に使っています。クロストレーニング、リカバリーには欠かせませんし、故障者のアスレティック・リハビリテーションには最適ですね。

- - 最後にナショナルチームの現状と展望についてお聞かせください。

2年前にフランス人コーチを招聘しました。それ以降、フランス流トレーニングを徹底的に実行しています。ここまでのところ、選手の生理学的データは有位に上昇しています。目標とする2020年のメダル獲得に向けては現在の取り組みをやり続けることが重要だと考えています。

(撮影:倉沢知裕)

〇 参考:トライアウトの設定負荷レベル

ボート競技トライアウトでの設定負荷レベルです。(空気抵抗負荷です。磁石抵抗は使いません。)当該トライアウトはWattbike Pro で行っています。最初の2分間は設定負荷レベルで、最後の1分間は自由です。回転数(rpm)の目安として、最初の2分間は100回転近辺で漕ぐようにしています。

年齢 性別 Level
U14 F 2
M 4
15~18 F 3
M 5
19~22 F 4
M 6
> 23 F 4
M 7

〇 「ボート全日本軽量級選手権」のご案内

5月26日(金)~28日(日) 埼玉県戸田ボートコースにおいて、全日本軽量級選手権が開催されます。今シーズン最初のナショナルタイトルを賭けた大会で国内トップクルー、選手たちが覇を競います。詳しくは日本ボート協会ウエブサイトをご覧ください。

http://www.jara.or.jp/


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