2019年10月28日
ワットバイクの普及、用途開発に金メダリストならではの視点を持って取り組んでいる清水宏保氏が、インタビューを通して語った今、思うことの一端をご紹介します。
- 今日は清水さんのライフワークとも言える、「医療とスポーツの融合」についてお聞きします。この数年で次々と事業を立ち上げて軌道に乗せていますが、現在はどのような考え方で取り組まれているのでしょうか?
「そうですね。トレーナー育成の重要性を改めて感じて、そこにフォーカスしています。」
- 具体的にはどういうことでしょうか?
「トレーニング指導の現場において、選手を追い込むことは簡単です。しかし実際にはトレーナーにより求められるのは、適切なところでトレーニングを止めるスキルです。選手の動きの変化を見極めて、これ以上は無理だというところでトレーニングを止めること。トレーナーはそういう止められる眼を養う必要があると思います。これは競技スポーツでも一般リハビリ、或いは介護予防の現場においても同じように言えることです。」
- それは正に、トレーナーにはメディカルの視点が必要だということですね。
「その通りです。「止められるトレーナー」の育成にはメディカルのアプローチは欠かせません。また、止めるスキルと同様にリハビリのスキルも大事ですが、これは回復させるための動きを促すということですから、やはりメディカルの知見が必要です。私自身、事業を始める際にまず医療的な実績を持ちたかった理由はそこにあります。」
- 先ほど、「動きの変化を見極めて」と仰いましたが、そのポイントはどこにありますか?
「これは自分を追い込んだ経験がないと難しい領域です。逆に言うと、そうした経験を持つトップアスリートこそ能力を発揮できるところだと思います。ご質問については、ワットバイクを例にとるとよくわかりますよ。」
- ワットバイクがどのように役に立っているかは興味深いところです。
「例えば、左右の脚どちらかに麻痺がある方がいるとします。大抵の場合は症状を正確に自覚できていません。そのため自分の症状に気づかないまま動作を行い、身体のバランスが崩れていくのです。しかし、ワットバイクに乗ればすぐに自覚できます。自分ではバランスよく漕いでいるつもりでもモニター表示(Polar View)は違います。まさにこうした自覚と実際の違いを本人に認識させる能力がトレーナーには必要ですが、ワットバイクを使うことでより容易に自覚させることが可能になります。以上のことからワットバイクは病院こそ取り入れるべきツールです。当社が運営する、リボンリハビリセンター(札幌市、リハビリ型デイサービス)では、皆さん楽しみながら漕いでいます。もちろん成果も出ています。」
- ところで、メディカルフィットネスの今後の広がりについてはどのように見ていますか?
「需要は相当にあると思います。病院には180日しかいられないために「リハビリ難民」が増えています。そのための受け皿需要も大きいです。但し、受け入れ側としては、トレーニング機材、物理療法、また1対1のパーソナルである必要性など、ハードルが高いのも事実です。」
清水氏は地元、北海道で益々、精力的に事業を展開しています。今般、石狩市でオープンする、「リハビリセンター こころね」に対してはコンサルタントとして、これまで自社施設運営で培ってきたノウハウを惜しみなく提供しています。10月10日の内覧会初日には東京からテレビ局の取材が入るなど、注目の高さが伺えます。